世界線の交差点
第二最寄り駅に向かう途中にある大通りの交差点がすべてスクランブルになっていました。
ビックリ。
聞いたところによると3日前くらいから変わったそう。
周りの人たちも少々混乱している様で、歩行者信号が青になったのに交差点の真ん中に取り残されてる車を複数台見ました。
この第二最寄り駅というのは高校受験の際に通った塾のあるところでして、その大通りというのは如何に遅く家を出て遅刻せずに塾まで行けるかというチキンレースを行った言わばサーキットだったのですね。
この場合のレースはダブルミーニングです。
それはさておき、このタイムトライアルにも似た通学には信号の存在が大きく関わってくる。
1分1秒を争う時に信号に何度も捕まってしまっては遅刻確定なわけです。
そこで私は通学ルートの研究によって通る信号機の数を最低まで減らしました。
しかし、大通りはどうしても渡らねばならなかったのです。
こればかりは避けようがなかった。
ただ、その中でもどうにか信号にはかからないようにしようと考えた結果、3つの交差点の前を通るようにし、その時の信号に合わせて渡れるところで渡るという最も効率のいいであろう渡り方に至ったのです。
まあ渡り方の話はどうでもよい。
とにかくあの交差点というのは私にとって行く手を阻む強敵だったのです。
あいつの光り方によって遅刻を左右されていたのです。
それが今ではなんですか。
全部赤になりやがるし全部青になりやがる。
変わっちまったよ……
もう俺と激闘を繰り広げたあいつじゃなかった……
丸くなっちまった……
まああの大通り信号赤になっても普通に渡るおばちゃんとかいっぱいいたせいで全然車曲がれてなかったのでスクランブルにする意味意義大いにあると思います。
ただ、いつもだったら絶対に止まらないところで信号を待つことになったので少し寂しい思いがしたとそういう話です。
この街も生きている。
その息吹無き生命と共に過ごしていることをどこか実感させられたいい日でありましたな。