今咲かんとするつぼみ
夏になれば咲く花のつぼみをじっと見つめている。
外から見ていればそれは夏になれば自然に咲く花のように思えるのだが一つのつぼみを見つめているとそのつぼみが本当に開くのか不安に思えてきてしまう。
実際、その隣にあったつぼみは花開くことなく枯れてしまった。
そうなるのが怖くてじっと見つめてたまに水を与えている。
もしもこの花が水を与えれば与えるほど早く育つのであれば話は早く、頑張って水を沢山運んでくれば良いだけの事なのだがそれではいけない。
自ら咲いてくれるのを待つしかないのだ。
花自身の咲きたい意志も伝わってくる。
私もつぼみの中が見たくてたまらない。
恐らく咲いたら涙を流してしまうだろうと思う。
きっと綺麗だろうから。
咲かなくても鳴いてしまうと思う。
力をふり絞っても開かないつぼみはとても残酷だろうから。
夏になれば勝手に咲くわけではない。
咲くことができるのは咲こうと思った花だけである。
それを絶対に忘れてはいけない。
今日飛ぼうとして地面に落ちたセミを決して忘れてはいけない。
飛べる時に飛ばずしていつ飛べるのだ。
この最後の体力を咲くこと、飛ぶことに全て使う。
その意気でいたいと思った。